〜ちょっと改造版の製作記〜
スーパースワン製作1日目 07/01/21 やっと板を買ってきた。田舎なんだが、近くにホームセンターができたのでDIYには超便利。きっと私をスピーカー工作の道に陥れるためにできたにちがいない。汚れている板は2割引にしてくれた。3枚で1万6千円くらい。高いのだろうか。まぁ、いい。 高校生のときに長岡バックロードホーン(D37の前の型だったと思う)を製作して以来、何十年ぶりかの第2号機である。とっくにノウハウは忘れてしまっているので初めての製作と変わらない。今回の製作で肝に銘じていることは「完成を急がないこと」である。高校生のころは一刻も早く音を聞きたいために手を抜いたり塗装がいいかげんだったりした。中年にさしかかった大人の趣味として、しっかりとしたものにしたい、と思うのであった。 ▲買ってきた3枚の3×6シナ合板 ▲断面のようす。 中は寄木のようだ。強度の点ではイマイチな気もするのだが・・・。しょせんホームセンターの合板だ。品質は期待できない。ラワン合板もあったのだが、オイルスティン仕上げにしようと思っているので、表面がきれいなシナ合板にした。マニアのみなさんはフィンランドバーチという超固くて高価な合板を使用しているみたいだが。超低コストでそこそこの音を目指している私とは立ち位置が違うのだ。 ▲鉛筆で切り取り線を書いているところ 9時から始めて午前中はこの線引きで終わってしまった。 ▲線引きが完了したようす 板の番号がわからなくなってはいけないので、マスキングテープに番号を書いて貼っておいた。 ▲カッティングのようす カットサービスを使うのが一番精度的にはいいのはわかっているし楽なのだが、やはり一片の木材を自分の手で生み出し愛情をそそぐことこそが自作の真髄である、と私は思うのだ(無謀なだけ・・・)。超低コストというテーマもあるし。 しかし垂直に直線を切ることは素人には無理だということははじめからわかっている。マルノコやジグソーの導入も考えたが、インターネットで調べて見るとマルノコは危険な上に素人には直線切りは無理、ジグソーは治具を使う方法はあるが厚い板や長い直線は無理らしい。ということで、ソーガイドを導入して手引きすることにした。のこぎりは「ゼットソー265」である。 ▲長い直線を一気に切っているようす このソーガイド、超すぐれものである。垂直な直線がわりと簡単に切れる。これは大正解だった。とは言っても、しょせん手引き。高精度のマシンでカットするカットサービスに比べれば精度は雲泥の差がある。 ▲ソーガイドを使って切っているようす ▲カットした断面。なかなかきれいな垂直の直線が切れている。 ゼットソーはよく切れるのだが、さすがに手引きはつらい。さらに慣れない作業なので体のあちこちがぎしぎしいっている。ひざにはバレーボールで使うサポーターをしているのだがそれでも痛い。午後5時に今日の作業は終了。くたびれた。が、楽しいのである(´ー`)。 ▲今日の作業でできあがった木片たち ちょっとねじれていようがこの木片たちのかわいいこと。カットは2/3が終了した。今日は日曜なのだが結婚式があるので作業はできない。次は来週の土曜日だ。「完成をいそがない」。忍々。 スーパースワン製作2日目 07/01/28 午前9時から作業開始 。1/3残っていたカットをする。ソーガイドとゼットソーで切る。10時半頃には、カットが完了。途中雨が降り出したので車庫で作業をした。 ▲ようやくカットが終了。 すぐに組み立てに入る。同じ幅・長さでないといけないものは、ヤスリで磨いて精度を高める。0.数ミリ音道が狭くなるだろうがゆがみが出るよりは全然いいはず。 ▲同じ幅・長さの木片を合わせてヤスリがけをしているようす。 接着には見えないところにはネジを使うことにした。ハタガネやクランプは数を買えば高いしネジを使えば密着度も高まるしボンドが乾く時間を節約でき作業が効率的になると考えたからだ。少なくとも釘よりはいいはずだ。位置決めをして、ドリルで穴を開けておく。 ▲ネジとボンドで固定したようす。 ▲ネジは安いコンパネ用のヤツ。 ネジを締め上げるとドリルで穴を開けるときに位置あわせをしたにもかかわらず微妙にずれるのには困った。うーん、位置決めくぎを打つべきか。 ▲黒い水性ペンキを塗っているようす。 組みあがってからでは塗装できない部分にはこの段階で塗装をしておく。油性のペンキはくさいしハケをシンナーで洗ったりしないといけなくて面倒なので黒の水性ペンキで塗ることにした。どうせ内部なので見えないし。ニスの方がよかったかなー。 ▲ペンキがかわく間にネックの部分の製作を行う。 スワンの場合、胴体とネックと2つの工程を同時に進行するととても効率がいい。ネックの木片のヤスリがけをしようとしたところ、最大2ミリの誤差を発見・゚・(ノД`)・゚・。これはいくらなんでも修正不可能だ。ということで余った合板からカットしなおした。線引きが間違っていたのだろうか。ということは隣接した部品も相当誤差がある可能性が・・・。 ▲音道の内側にペンキを塗っているようす。 ペンキがつくとポンドがつかなくなるので接着部分にマスキングテープを貼ってから塗装。と、今日はここまでで午後5時に。作業終了。ヤスリがけに思いのほか時間がかかるのと昨日買ったドリルの調子がおかしくて交換に行ったりしたのでなかなか進まなかった。「完成を急がない」。忍々。 スーパースワン製作3日目 07/02/02 一昨日は休みだったので製作の続きをした。 ▲胴体内部のパーツが組みあがった ネジを締めあげてもずれなくなる方法がわかった。クランプで締め付けておけばいいのだ。そして、ドリルで穴を開けてからネジを締めると完璧。ぜんぜんずれない。 ▲ネックの下部の板をくっつける。ここは見える部分なのでネジを使わない。 ハタガネも買ってきた。今回はなにかと購入しているのでえらくCP(コストパフォーマンス)が悪い。 ▲音道の板にRをつけた ▲内側にペンキ塗っているところ。マスキングテープはあとでボンドをつける部分。 後でボンドをつけるところはマスキングテープしてペンキを塗った。手間がかかることおびただしい。内側なんて塗らなきゃよかった・・・。ここまでで終了。あー寒かった。 スーパースワン製作4日目 07/02/06 Vistaのインストールは夜することにして昼はスワンの製作をすることにした。 ▲Rを出すのに作ったやすりがけ用の道具。竹を切ってきた。 ▲内部の塗装にニスを塗った。 ▲ネックの部分はもう組み上げてしまっていたのでニスを塗るのが大変だった。 ▲ヘッドの底の加工。穴を開けてまわし引きのこで切ったのだが、ドリルで穴を開けたときに大きくめくれてしまったのでパテで修復したところ。わざと10゜ほど傾けてある。 ▲ヘッド底板の設計図 ▲こんな感じになるはずなのだが・・・ ▲ヘッドの部品にマスキングテープを貼って内部塗装をする。 ▲内部塗装にサンダーをかける。その後もう一度ニスを塗った。 ▲ネックの下の部分にR処理をする。 ▲いよいよ胴体の組み立て。いろいろ手順を考えたがこれが一番ひずみが出ないだろうと思ったのだが、作業を進めていくと側面のボンド付けが極めて困難なことが判明。やはり長岡先生の手順がよろしいようで。 ▲胴体の内部が組みあがった。 ▲胴体のリアビュー。ねじは後に全部見えなくなる予定。 ▲今日の成果。 スーパースワン製作5日目 07/02/11 さて、続き。 ▲前面と後面の補強板にRをつける。ドリルで粗く削っておいて60番の紙やすりで磨いて400番で仕上げた。 ▲後面の補強板を取り付けているようす ▲上ふたの加工に入る。これは内部塗装後、マスキングテープを取り去ったときのようす。 ▲まわしびきのこでカットしているようす。ドリルで穴をあけるとき下に別の板を敷いてやるとわりときれいにできる。なにもしないでやると大きくめくれてしまう。ヘッドの底板の加工で懲りていたので、あらかじめカッターで切り目を入れておいた。 ▲ネックは8本のネジでいやというほど締め上げた。見えないところは徹底的にネジを使うことにしている。それにしても内部塗装がずれすぎだ・゚・(ノД`)・゚・。寸法の測り間違いだろう。まぁ、見えないのでいいや・・・。 ▲ヘッドの接着。写真とかでは小さいと思っていたので案外でかいのにびっくりした。ここは見えるところなのでネジが使えない。後ろに見える本は重しに使ったもの。子どもが読んだ「コロコロ」だ。いらなくなったのでリサイクルに出すところを待ってもらっている。 ▲ヘッドは4つのネジとボンドで固定。 ▲二重化した外側の板の加工。持ち運び用の取っ手をつけた。ここで午後5時に。今日の作業は終了だ。花粉だろうか、あまり寒くはないのに鼻水が止まらない。風邪をひいたかな? ▲今日の成果。 スーパースワン製作6日目 07/02/12 今日は組みあがるかな、と思いつつ続き。 ▲二重側板のR加工。かんなで削ってから60番のペーパーで研磨した。ドリルで削るよりかんなで削る方が何倍も早いことがわかった。補強板のときもこうすりゃよかった。初めてなので試行錯誤の連続である。 ▲側板の接着 ▲バッフルの加工 ▲どうしてもカットの精度のせいででこぼこができてしまう。出っ張りは削れるが足りないところはどうしようもないのでパテで修正。 ▲バッフルが完成した。つめつきナットを採用。まぁ、私の場合はそんなにユニットを変えることはないのでビス止めでもよかったのだが、圧着度が違うかな、と思っただけ。それにしても、このネジ穴の加工にえらく手間取った。M4のネジなので6ミリの穴がよいようだが4ミリのドリルしかなかったのでぐりぐりとやって穴を大きくした。下に見えるのは円形バッフル。まわしびきのこでカットしてかんなで削って60番のペーパーで研磨してR処理した。 ▲今日の成果。ようやく形になってきた。バッフルに手間取ってここまでで終了。 スーパースワン製作8日目 さて、今日は試聴できるかもとわくわくしながら続き。 ▲内側バッフルの加工。円形バッフルをつけることでバッフルが2重になり厚さが30ミリになる。「ぬけ」が悪くなるかなといやな予感がしたので、不安は取り去っておこうということで加工した。 ▲バッフルの加工が終了。 ▲ヘッドの加工。ソーガイドを45度カット用に変形して利用。正確に切れる。すぐれものである。でも手引きは大変だ。文章で書くと簡単にみえるが、このヘッドのカットだけでもはぁはぁ言いいながら1時間程度かかっている。何度やめようかと思ったほど。 ▲カット後の断面 ▲断面に木口(こぐち)テープを貼る ▲木口テープは高価なので目立つところだけ貼った。きれいに見えるのだがこれを貼ることによって0.5ミリの段差ができる。本来なら貼る部分を0.5ミリ削らないといけないがもうそこまでやる根性はない。一瞬にしてきれいに削れる道具はないものか。 ▲円形バッフルを取り付けて後ろから見たようす。本当は点音源に近づけるため小さくしたかったのだが、グーグルスケッチアップでモデリングしたときに、これ以上小さくすると後ろのヘッドが隠れなくなるのがわかったのだ。 ▲ボディのR部分にも木口テープを貼る ▲木口テープを貼ったR部分。うーん・・・どうなんだろう。 ▲いよいよ配線。ケーブルはそこらにあったものを「より線」にして使用。長岡先生や他のマニアの先輩諸氏には怒られるかもしれないがターミナルの位置はここにした。なぜか?ヘッドの後ろが私の美的感覚から許せないだけである。ただそれだけ。白鳥の頭から線が出てるんですぜ、おかしいでしょうフツー。まぁ、私がそこまで許せるほど音響マニアではないということでしょうな。 ▲配線のようす。音道に穴をあけるとはなにごとだーっ、と言われるかもしれないが、コーキングかなんかで埋めるからだいじょうぶ(と思う)。ボンドでもOK。作業しているうちによった線が緩んでしまったので後でしめなおすことに。 ▲ヘッドの配線。作業的には線はヘッドから入れる。 ▲今日の成果。もう少しで本体組みあがりというところでタイムアップ。 スーパースワン製作8日目 07/02/19 今日はいくらなんでも試聴できるだろうと思って続き。 ▲木口テープを10m追加購入した。1,900円也。全部で20m購入したことになる。この追加で購入したシナ木口テープが後で問題に。 ▲前から見えるところは全部木口テープを貼った。 ▲音道のすみに貼る三角材を作っているところ。 ▲三角材に黒のペンキとニスを塗った。 ▲三角材を取り付けたようす。実は三角材は「もうそう竹」のRを利用して作る予定だったがいざやってみると品質的にとても使えるシロモノでなかったのでやめた。あきらめていたのだが、15ミリシナ合板を斜め切りして、15ミリ×15ミリの四角材と組み合わせたら大きな三角材ができることを思いついてしまったので結局つけることにしたという顛末である。底板はくっつけてしまっていたので底に貼る三角材の取り付けは大変だった。狭い音道には手が入らないので、「きり」で突き刺して定位置までもっていき、細長い棒で圧着した。 ▲さて、仕上げの塗装準備。買い置きの床クリーナーで板の表面をきれいにする。 ▲鉛筆の線などを消しゴムで消す。 ▲フェルトを入れていよいよ上蓋を接着する。このフェルトは蓋をした後では調整できなくなるのですごく不安だ。結局かなり少なめにした。少々の誤差が埋まるようにボンドを多めにする。 ▲ケーブルのためにあけた穴は結局パテで埋めた。 ▲接着のようす。これで本体は一応完成だ。 ▲いよいよ塗装。スティンを塗る。色はウォルナット。マニアのみなさんのサイトを見るとスピーカーの製作で最と手間がかかるのが塗装らしい。ニスは最低でも3回は塗るみたい。塗ってはサンドペーパーで磨く作業の繰り返し。 ▲木目が浮き出して美しい。うーん、上下が・・・。そこまで考えていなかった・・・orz。 ▲問題のシナ木口テープ。全然スティンを吸わないので白いまま。同じところで購入したのに・・・。何がいけないのだろう。 ▲深い色がほしかったんだがなかなか出ないので2回もスティンを上塗り(計3回塗り)、買い置きしてあった床ワックスを塗った。 ▲ニス塗り1回目。これで今日の作業は終了。ニスが乾かないので試聴は無理。忍々。 スーパースワン完成! 07/02/21 今日は用事があって休暇をとったので午前中で用事をすませて、午後から製作の続き。 ▲今日はものすごくいい天気なので外に出してやすりがけ。昨日まで仕事から帰ってからニス塗り、やすりがけを繰り返していたので、今日は仕上げの1000番のやすりがけをして仕上げニス塗り。これで5回目だ。水性ニスなので何回やっても鏡面のようにはならないみたい。というかやり方が悪いんだろう。 ▲乾燥中 ▲表面はこんな感じ(フロント)。 ▲ヘッドもテカテカしている ▲胴体の上板 ▲側板。取っ手のところはかなり手抜き。 ▲いよいよターミナルへの半田付け。真空管アンプを2台作っているので半田付けは慣れている。このターミナルは1,000円の安物。全然こだわりません。ターミナルとかケーブルに懲りだしたら本物のマニアですね。 ▲ターミナルを取り付けたようす ▲ユニットに半田付けして取り付けて完成!やったー。 ▲斜め後ろビュー。側板二重化と後ろの補強板は箱鳴り抑止に貢献するんじゃないかと期待している。 ▲はやる心を抑えながらアンプのある部屋(決してオーディオルームではありません)に移動。どんな音がするんだろうか。あれだけ丹精込めて作ったのに全然だめだったらがっくりだな、とか思いながら結線作業をした。 ▲鳴っているスーパースワン(ちょっと改造版)。 真空管アンプに火を入れ、ビル・エバンスのワルツフォーデビーのCDをかける。Σ(゚д゚)こ、これは・・・!!!!。す、すごい。これがスワンの音なのかー。さすがみなさんが作るだけのことはある。なんだこの低音のすごさは。10センチユニット1発なんてとても信じられない。もう感動の嵐です。あー、作ってよかった・゚・(ノД`)・゚・。 こないだ作った重ねてつくるバックロードホーンのアルテックのユニットは最初全然低音が出ず紙くさいペコペコした音だったんだが、このFE108EΣとスーパースワンの組み合わせはそれを全然感じない。最初から鳴っている。エージングが進んだらどんな音になるんだろう。ユニットがSuperとかES2とかだったら一段とすごいんだろうな。強力なユニットがほしくなった。試聴の一瞬で苦労がふっとびました。スーパースワンの製作記(完)。 その後・・・ スーパースワン(改)のデッドスペースにセメントを入れた。最初はビニール袋に川砂を洗ったものを入れていたんだが、何かの拍子に床にぶちまけてしまいそうで落ち着かないのでいろいろ悩んだ挙句、余ったセメントを発見したので砂にセメントと黒ペンキ入れて混ぜ合わせたものを詰め込んだ。 ▲黒ペンキ入りセメントを入れたようす ▲こんな感じ 素人なので木工品にセメントを詰め込むとどんな悪影響があるのかないのかさっぱりわからないが、おかげで重量は結構重くなった。一応、内側にはペンキとニスを塗ったのでセメントの水分を吸って板が変形することはないだろうと思っている・・・。コンパネはコンクリートの型に使うのだからたぶん大丈夫。 トップページへ |
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参考:スワンは↓の書籍に掲載されています。 長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術 図面集編 SpecialEdition 2 |
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