D-58ES-R

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〜 限定ユニットFE208ES-R用に拡張したD-58ES(改造モノ) 〜
Original Design - Tetsuo Nagaoka
Modified by T





D-58ES-Rを作ってみた 07/03/20

 タイトルを見て「おっ」と思われた方、大変落胆させて申し訳ないです。FE-208ES-R用のエンクロージャは何がいいのか悩んでいたのですが、「みじんこ」様のこのページに、以下のような記述を発見。
「マキゾウオリジナルD-37ESの話である。これはオーディオベーシックに掲載されたD-37ESとは寸法が違う。オーディオベーシックD-37ESは奥行きと幅の変更で、ロードの拡張を果たしていた。マキゾウは奥行きそのままに、ロードの幅だけを2cm広げた設計になっている。」
 これによると、どうやらD-37ESというのは長岡先生の設計ではないらしく、マキゾウさんが独自に設計されたようである。マキゾウバージョンと呼ばれるヤツだろうか。私が着目したのは、「ロードの幅だけを2cm広げた設計」という部分のみ。(空気室の奥行きを拡張したのに全体の奥行きが元のままということは音道の断面積が変更されていると思いますが、それはここでは無視)

 ということで、ESよりも強力だと思われるFE208ES-Rには、D-58ESの音道を2センチ広げればよいだろう。ものすごく単純な発想である。それだけではあんまりなので、D-58ESの欠点であった背面板の二重化を施した。しかも、サブロク合板7枚で実現するというハイCP(ケチケチ)作戦である。これにより、幅が464mm、奥行き586mm(側板部は590mm)、高さ1,042mmということになる。ちなみにD-58ESは、幅444mm、奥行き565mm(側板部568mm)、高さ1,042mmである。


▲これが幅を2センチ広げた「D-58ES-R」だっっっ!!!


▲寄木だが背面板二重化を実現している


▲左がD-58ES-R、右がD-58ES

 D-58ESに比べてファットになりましたが風格が出ていかにも鳴りそうです。実際はどうでしょうか。風貌はD-55に似てきました。ところで勝手にD-58ES-Rなどとネーミングしたのだがまずいだろうか、というかもう他で発表されているものがあるのだろうか。一応ぐぐってみましたが見つかりませんでした。問題ありならご一報を。全然こだわってはいませんのですぐに改名します。

その後・・・ 07/03/21

 音道を広げるということは、板鳴りが気になるところである。そこで以下の補強をしてみた。


▲補強板を2つにしてみた

 ただし、第1音道は上下で固定されているのと狭い音道への影響が心配なので元のまま。さらに背面板の補強はすでに板を二重化しているので元のままでよいと判断した。また、18番の板の補強がなかったので追加した。データは補強後のものをアップロードしました。「過ぎたるは・・・」ということわざがあるがどんなものだろうか。



その後 07/04/09

 風邪で寝込んでいるときに、ベッドには無線LANでノートが使えるようにしているのでネットを検索していたら、あるページ(すみません、テキストだけコピペして控えていませんでした。)に以下のような長岡先生のことばが載っていました。
「D-57より大型のBHで低域をぎりぎりまで稼ごうという計画。BHの設計はD-57がうまくできているので、この幅を少し拡げるという安直な手法によることにした。安直といってもこれしか考えられないのである。」
 長岡先生もそう考えたのなら俄然自信が出てくるわけであります。特にD-58はもういじるところがないほど完成度が高いと思われるので何かしようとたくらむ場合横幅しかないと思うのですね。

 これに気をよくして、音道の各所にR処理を、コーナーには三角材を設置することにする。大きな三角材は以下のようにして製作する。小さな三角材は21mm合板を45度カットで作る。


▲コーナー用の大きな三角材の作り方


▲42mmの三角材の完成


▲音道のR処理と三角材をつけたようす

 補強材が大きすぎて影響が出そうなので高さを30mmにしR処理した。もしフィンランドバーチなどの硬い合板で作る場合は、こんなR処理をした日には困難を極めるに違いない。ここまでやれば、内部塗装は当然します。ペンキを塗った後ニス2回塗りが最低限。つきつめたい人はニスを何度も塗ってピカピカにすればいいでしょう。といっても私は内部塗装なんてしてもしなくてもそんなには変わらないと思っています。まぁ、これって趣味ですからね、やっとけばよかったと後で思うより、やりたいだけ気の済むまでやればいいんです。


▲音道の拡大図


その後・・・板取改良 07/04/25

 側板が1枚板になるように板取りしてみた。結構無理な板取なので同じパーツがあちこちに配置されているがこれが今のところベストだろう。


▲改良した板取図


その後 07/12/31

 FE208ES-Rは当初予想したほど強力ではないということなので、絞り率が大きくなるのは問題である。ということで第1音道に板を追加した。D-55を参考にバッフルの補強もしてみた。←と言いつつS様のページを参考にしたのは言うまでもない(すみません、パクリました)。天板の二重化と背面板の補強を施して、さらに新機軸、音場感の向上を期待して得意の円形バッフルを追加した。


▲これが現在のD-58ES-Rだ!


▲音道のようす


▲絞り率に配慮して改良した第1音道

 良くなっているのか悪くなっているのか判然としないところが悩ましい。だんだんデンジャラスになりつつある気が・・・。

 板取の関係で全高を21mm縮めた。つまり開口部が21mm狭くなっている。あまり影響はないと思われるのだが・・・。それと、円形バッフルを1番板から切り出すため見栄えのよさを犠牲にせざるを得なかった↓。


▲見栄えが少し悪くなった


▲現時点でのD-58ES-R(右)とD-58ES(左)


計算してみた・・・2008/01/03

 FE208ES-RのQ
0は、0.16である。したがって絞り率の目安は、
  SR=1÷(5×0.16)=1.25
である。はぁ?1を超えてるじゃないか?まぁ、この公式は経験則だろうから特殊なユニットには合わないのだろう。

 現在のD-58ES-Rのスロートは、
幅380mm-補強板分18×3mm、高さ60mmであり、FE208ES-Rの実効振動面積が198.46cm2であるから、絞り率は、

  (380-18×3)×60=190.2cm2
  絞り率=190.2÷198.46=0.96

 となる。で、もともとD-58ESにFE208ES-Rを取り付けた場合の絞り率はというと、
幅360mm-補強板分18mm、高さ60mmなので、

  (360-18)×60=203.4cm2
  絞り率=203.4÷198.46=1.02

と1を超えてしまっているのである。

 さらにそもそも論でいくと、先生がD-58を設計をされた時点にさかのぼる。D-58を設計されたときのターゲットユニットは、6N-FE208SSでありその実効振動面積は、206cm2であった。するとD-58の絞り率は、

  (360-18)×60=203.4cm2
  絞り率=203.4÷206=0.99

でしかなくほとんど1なのである。ということで絞り率のみから見ればこれはこれで問題ないと思われるのである。むしろ問題なのは、D-58やD-58ESにFE208ES-Rをそのまま取り付けた場合であろう。ただ、それでも問題が発生したという事例は聞かないのでそれほど神経質になる必要もないのだろう。

 次に空気室の容量の計算だ。

 ユニットとホーンのクロスオーバーを200Hzとすると、
  Va=10×190.2÷200=9..51g

とすると空気室の仕切り板の位置は、
  9.51*1000000/(95×380)=263.4mm
となる。

 現在の仕切り板の位置は、290mmである。290mmからクロスオーバーを逆算すると、180Hz付近となるが、FE208ES-Rの周波数特性を見ると、200Hz付近からだら下がりであるが、クロスオーバーが200Hzであろうと180Hzであろうとあまり問題はないように思える。まぁ、ここは補強材の体積も勘案すると280mm程度にしておくのが無難であろう。

 さて、次に音道断面積を比較してみる。

D58ES D58ESR
No.1 20.34 19.02
No.2 23.73 26.6
No.3 30.6 32.3
No.4 41.04 43.32
No.5 52.2 55.1
No.6 118.08 116.66


 これをグラフにすると、


▲音道断面積の比較

 となり、ほとんど差はないのである。ただし、第1音道を絞ったため、第2音道が持ち上がる形になっており美しいエクスポーネンシャルから外れてしまっている。ここに2枚の調整板を入れてやると、


▲音道面積の比較

のようになり、なかなかよさげである。さらに、第5音道を145mmから170mmにすることで、



 このように理想的なエクスポーネンシャルホーンとなるのである。

 それでは、やってみよう。


▲上記をすべて反映した


▲第2音道も絞った


▲第5音道の奥行きを170mmにした

 ただし、板取はもう限界なので第5音道を増やすとさらにもう一枚必要になる。ということで10mmほど増やしてみた。



 それでもかなり改善する。


▲現在の寸法


▲ギリギリ感満載の板取
 大型裁断機では絶対切れません。うーん、なんだか煮詰まり感大なのでしばらく放置。





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参考:D-58ESは↓の書籍に掲載されています。


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